針筋電図の随意収縮と動員

電気生理

はじめに

針筋電図では、個々の運動単位電位(motor unit potential:MUP)の形だけでなく、患者さんが力を入れたときに「参加する運動単位の数」「それぞれがどのくらいの頻度で発火するか」を観察します。これが随意収縮時の動員評価です。

正常では小さい運動単位から参加する

弱い力では、閾値が低い小さな運動単位から発火します。さらに力が必要になると、発火頻度の上昇に加えて、より閾値の高い運動単位が順番に参加します。これはサイズの原理として知られています。最大収縮に近づくほど多数のMUPが重なり、完全干渉波形に近づきます。

図1 力を増やす方法は、発火頻度を上げることと、新しい運動単位を動員することの2つ

動員減少(late recruitment)→ 神経原性変化

力を増しているのに新しいMUPがなかなか加わらず、すでに活動しているMUPの発火頻度だけが高くなる状態を動員低下、またはlate recruitmentと表現します。

これは、参加できる運動単位の数が減ることで、同じ力を出すには、残存する運動単位の発火頻度を上げる必要があることを意味しています。

⚫︎目安

発火頻度が10 Hzを超えても次のMUPが出現しない場合に動員低下を疑います。

弱収縮で2個のMUPが出現しているとき平均発火頻度が10 Hz以上、

3個で15 Hz以上ならlate recruitmentを疑う。

早期動員(early recruitment)→ 筋原性変化

筋疾患では1つの運動単位が生み出す力が小さくなるため、弱い力でも多くの運動単位を参加させる必要があります。これが早期動員です。

短持続時間・低振幅のMUPが多数現れ、わずかな力でも密な活動に見えることがあります。

ただし、筋原性変化の判定は神経原性の動員低下より難しいです。判断が難しい時は言い過ぎないことも重要です。

図2 正常・神経原性・筋原性を、運動単位数と発火頻度の組み合わせで比べる

まとめ

  • 正常:力の増加に伴い、発火頻度と参加する運動単位数の両方が増える。
  • 神経原性変化:少数の残存MUPが高頻度で発火する→late recruitment
  • 筋原性変化:弱い力から多数の小さなMUPが参加する→early recruitment

参考文献

  1. 関口兼司, 幸原伸夫. 症例から考える針筋電図 神経筋疾患の診断にどう活用するか. 診断と治療社; 2017. ISBN 978-4-7878-2264-2.
  2. Preston DC, Shapiro BE. Electromyography and Neuromuscular Disorders. 4th ed. Elsevier; 2020.
  3. Daube JR, Rubin DI. Needle electromyography. Muscle Nerve. 2009;39:244-270.
  4. Kimura J. Electrodiagnosis in Diseases of Nerve and Muscle. 4th ed. Oxford University Press; 2013.

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